長時間の座り姿勢で縮こまりやすい股関節前側の筋肉(腸腰筋)を伸ばします。骨盤の前傾を改善し、痛みの軽減につながります。
- ゆっくり片膝立ちになります(後ろ足側を伸ばします)
- 骨盤を立てたまま(前に傾けない)、体を軽く前に移動させます
- 後ろ足の股関節前面に伸び感を感じたら20〜30秒キープ
- 左右交互に1日2〜3回。バランスが不安な方は椅子の背もたれを掴んで行いましょう
③ クラムシェル(中殿筋を鍛える)
お尻の横にある中殿筋(ちゅうでんきん)が弱いと、歩行時に骨盤が傾いて股関節への偏った負荷が増えます。このエクササイズで中殿筋を鍛えましょう。
- 横向きに寝て、膝を90度に曲げます(腰・膝・足首が一直線になるように)
- 足首はくっつけたまま、上の膝だけ貝殻が開くようにゆっくり持ち上げます
- 骨盤が後ろに倒れないよう固定するのがポイント
- 20回×2〜3セット。左右行います

④ ブリッジ運動(大殿筋・腸腰筋を鍛える)
お尻の筋肉(大殿筋)を鍛えることで股関節の安定性が上がります。膝や腰に痛みのない方は積極的に取り入れましょう。
- 仰向けで膝を立て、足を腰幅に広げます
- お腹に力を入れながら、お尻をゆっくり持ち上げます
- 腰を反らせすぎず、肩〜膝が一直線になる高さまで上げます
- 3秒キープしてゆっくり下ろします。10〜15回×2〜3セット
日常生活で取り組めること
セルフケアと並行して、日常生活の工夫も大切です。

体重管理が最も効果的
股関節への負荷は歩行時で体重の約3〜4倍、階段では5〜7倍になります。1kgの減量で股関節負荷が約3〜4kg軽減されるため、体重管理は最も効果的なセルフケアのひとつです。
水中歩行はおすすめ
プールの水中では浮力によって体重負荷が大幅に減ります。痛みが強い時期でも続けやすく、筋力維持にも効果的です。腰〜胸の水深を目安に20〜30分の水中歩行を週2〜3回取り入れましょう。
杖を上手に活用しよう
杖は弱さのサインではありません。痛みがある側の反対の手に杖を持つことで、股関節への負荷を約30〜50%軽減できます。外出時の杖使用を積極的に考えてみてください。
こんな時は病院へ!受診の目安
セルフケアは有効ですが、以下の状態が見られる場合は整形外科への受診が必要です:
- 安静にしていても・夜間にも痛みが続く
- 2週間以上、症状が改善しない
- 歩ける距離が明らかに短くなってきた
- 片脚立ちが5秒以上できない
- 脚の長さに左右差を感じる
早期発見・早期対処が、手術を避けて長く自分の足で歩き続けるための鍵です。
まとめ
変形性股関節症は、加齢・ホルモン変化・体重増加などが重なる40〜60代の女性に多い関節疾患です。初期段階では適切なセルフケアで進行を遅らせることが十分可能です。
- 避けたい動作(低い座椅子・正座・反動立ち上がりなど)を把握する
- 4の字ストレッチ・腸腰筋ストレッチで柔軟性を維持する
- クラムシェル・ブリッジでお尻の筋力を鍛える
- 体重管理と水中歩行で関節への負担を減らす
- 症状が続くなら早めに整形外科へ
「少し気になるな」と感じたら、今日からできることを一つ始めてみましょう。毎日の積み重ねが、将来の自分の股関節を守ることにつながります。
参考文献・出典
「靴下を履くときに股関節が痛い」「長く歩くとそけい部(足の付け根)が痛くなる」「椅子から立ち上がるときにズキっとする」——こんな症状に心当たりはありませんか?
40〜60代に多いこの痛みは、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)が原因である場合があります。実は日本人女性に特に多く、適切なセルフケアで進行を遅らせることができます。
この記事では、理学療法士の視点から変形性股関節症の原因・症状・自宅でできるセルフケアを詳しく解説します。
変形性股関節症とは?仕組みをわかりやすく解説
股関節は骨盤(臼蓋=きゅうがい)と太ももの骨(大腿骨頭)からなるボール・ソケット型の関節です。この関節の間には軟骨があり、動きをなめらかにしてくれています。
変形性股関節症とは、この軟骨がすり減り、骨同士がぶつかって痛みや変形が起こる状態のことです。日本では約500万人が罹患していると推定されており、男性より女性に約5倍多く見られます。

なぜ40〜50代の女性に多いの?
日本人に多い原因として「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」があります。骨盤側の「屋根(臼蓋)」が浅く、大腿骨頭をしっかり覆えていない状態で、若い頃は問題なく過ごせていても、加齢とともに軟骨が消耗して症状が出てきます。
さらに40〜50代は次の要因が重なりやすい時期です:
- 閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の低下……軟骨を保護する働きが減少する
- 体重増加……股関節への負荷は体重の3〜5倍。5kgの増加で約15〜20kgの負荷増
- 筋力の低下……股関節を支える筋肉が衰え、関節への偏った負荷が増える
こんな症状は要注意!変形性股関節症のサイン
初期は「少し違和感がある」程度なので、見逃されやすいのが特徴です。以下のチェックリストで確認してみてください。
- 朝、起き上がったときに股関節がこわばる(30分以内に軽快する)
- 長く歩いたあと、そけい部〜太ももの前側に痛みや重だるさが出る
- 椅子から立ち上がる瞬間に痛みが走る
- 靴下を履く・爪を切るなどの動作がつらくなってきた
- 階段の上り下りで股関節に引っかかりを感じる
- 脚を開いたり内側にひねったりしにくい
上記のうち2〜3つ以上当てはまる方は、整形外科の受診をお勧めします。レントゲンで軟骨の状態を確認し、早めに対策を始めることが大切です。
股関節を守るために避けたい動作・姿勢
まず「悪化させない」ことが最優先です。以下の動作は股関節に過度な負担をかけるので、できる限り避けましょう。
| 場面 | 避けるべき動作 | 代わりの方法 |
|---|---|---|
| 座る | 低すぎる座椅子・ソファへの深座り | 股関節が90度以上曲がらない高さの椅子を選ぶ |
| 立ち上がり | 反動をつけて一気に立ち上がる | 椅子の肘掛けや手すりを使ってゆっくり立つ |
| 床作業 | 正座・あぐら・和式トイレの長時間使用 | 椅子・洋式トイレを活用する |
| 靴 | ヒールの高い靴・硬底の靴 | クッション性のあるスニーカー |
| 運動 | 舗装路でのランニング・深いスクワット | 水中歩行・平地散歩・自転車(サドルを高めに) |
自宅でできる!股関節セルフケア4選
痛みが強くない段階であれば、適切なストレッチと筋力強化で進行を遅らせる効果が期待できます。痛みが強い時期は無理せず、休んでから行いましょう。
① 4の字ストレッチ(梨状筋・外旋筋を緩める)
股関節深部の筋肉(梨状筋)が硬くなると、関節への圧迫が増します。このストレッチでお尻の奥を緩めましょう。
- 仰向けに寝て、両膝を立てます
- 右足首を左の太ももに乗せて「4の字」を作ります
- 左の太ももを両手で抱えて、ゆっくり胸方向に引き寄せます
- お尻の奥に伸び感を感じたら20〜30秒キープ
- 反対側も同様に行います。1日2〜3回

② 腸腰筋ストレッチ(股関節前側を伸ばす)
長時間の座り姿勢で縮こまりやすい股関節前側の筋肉(腸腰筋)を伸ばします。骨盤の前傾を改善し、痛みの軽減につながります。
- ゆっくり片膝立ちになります(後ろ足側を伸ばします)
- 骨盤を立てたまま(前に傾けない)、体を軽く前に移動させます
- 後ろ足の股関節前面に伸び感を感じたら20〜30秒キープ
- 左右交互に1日2〜3回。バランスが不安な方は椅子の背もたれを掴んで行いましょう
③ クラムシェル(中殿筋を鍛える)
お尻の横にある中殿筋(ちゅうでんきん)が弱いと、歩行時に骨盤が傾いて股関節への偏った負荷が増えます。このエクササイズで中殿筋を鍛えましょう。
- 横向きに寝て、膝を90度に曲げます(腰・膝・足首が一直線になるように)
- 足首はくっつけたまま、上の膝だけ貝殻が開くようにゆっくり持ち上げます
- 骨盤が後ろに倒れないよう固定するのがポイント
- 20回×2〜3セット。左右行います
④ ブリッジ運動(大殿筋・腸腰筋を鍛える)
お尻の筋肉(大殿筋)を鍛えることで股関節の安定性が上がります。膝や腰に痛みのない方は積極的に取り入れましょう。
- 仰向けで膝を立て、足を腰幅に広げます
- お腹に力を入れながら、お尻をゆっくり持ち上げます
- 腰を反らせすぎず、肩〜膝が一直線になる高さまで上げます
- 3秒キープしてゆっくり下ろします。10〜15回×2〜3セット
日常生活で取り組めること
セルフケアと並行して、日常生活の工夫も大切です。
体重管理が最も効果的
股関節への負荷は歩行時で体重の約3〜4倍、階段では5〜7倍になります。1kgの減量で股関節負荷が約3〜4kg軽減されるため、体重管理は最も効果的なセルフケアのひとつです。
水中歩行はおすすめ
プールの水中では浮力によって体重負荷が大幅に減ります。痛みが強い時期でも続けやすく、筋力維持にも効果的です。腰〜胸の水深を目安に20〜30分の水中歩行を週2〜3回取り入れましょう。
杖を上手に活用しよう
杖は弱さのサインではありません。痛みがある側の反対の手に杖を持つことで、股関節への負荷を約30〜50%軽減できます。外出時の杖使用を積極的に考えてみてください。
こんな時は病院へ!受診の目安
セルフケアは有効ですが、以下の状態が見られる場合は整形外科への受診が必要です:
- 安静にしていても・夜間にも痛みが続く
- 2週間以上、症状が改善しない
- 歩ける距離が明らかに短くなってきた
- 片脚立ちが5秒以上できない
- 脚の長さに左右差を感じる
早期発見・早期対処が、手術を避けて長く自分の足で歩き続けるための鍵です。
まとめ
変形性股関節症は、加齢・ホルモン変化・体重増加などが重なる40〜60代の女性に多い関節疾患です。初期段階では適切なセルフケアで進行を遅らせることが十分可能です。
- 避けたい動作(低い座椅子・正座・反動立ち上がりなど)を把握する
- 4の字ストレッチ・腸腰筋ストレッチで柔軟性を維持する
- クラムシェル・ブリッジでお尻の筋力を鍛える
- 体重管理と水中歩行で関節への負担を減らす
- 症状が続くなら早めに整形外科へ
「少し気になるな」と感じたら、今日からできることを一つ始めてみましょう。毎日の積み重ねが、将来の自分の股関節を守ることにつながります。
